システム プロジェクトの構築 - 2023.2 日本語

Vitis 統合ソフトウェア プラットフォームの資料: アプリケーション アクセラレーション開発 (UG1393)

Document ID
UG1393
Release Date
2023-12-13
Version
2023.2 日本語

システム プロジェクトを作成した後、Component Explorer で選択するか、Flow Navigator の Component ドロップダウンから選択すると、ツールでアクティブなコンポーネントにできます。次に、Software EmulationHardware Emulation、または Hardware ヘッドの下にある Build All コマンドを選択します。

図 1. システム プロジェクトの構築

Build All オプションは、システムのリンク で説明される v++ --link コマンドを実行するための Build Binary Container コマンドと、システムのパッケージ で説明される v++ --package コマンドを実行する Build Package コマンドを、単一のプロセス ステップに統合します。または、これらを別々のプロセス ステップとして実行することもできます。Link セクションを展開し、Build Binary Container を選択して、.xclbin または .xsa のみを構築することも可能です。この後、Package セクションも展開し、Build Package コマンドを選択してビルド プロセスを完了します。

ヒント: LinkPackage の両コマンドは、それぞれ独自のコンフィギュレーション ファイルを持ち、前述のように、システム プロジェクト vitis-sys.json ファイルから管理できます。

システム プロジェクトは 3 つのビルド ターゲットをサポートします。

  1. ソフトウェア エミュレーションは、アプリケーションの C/C++ コードやシステム内のコンポーネントのシミュレーションをするためのビルドです。
  2. ハードウェア エミュレーションは、Vivado ロジック シミュレータでハードウェア デザインのシミュレーションをするためのビルドです。
  3. ハードウェアは、物理的なデバイス上で実行されることを想定したビルドです。

1 ~ 3 へ進むにつれて、完成までの時間が徐々に長くなっていきます。C/C++ モデルのコンパイルは、配置配線によってハードウェアにインプリメントされる RTL コードよりはるかに速くなります。このため、ソフトウェア エミュレーションを使用してデザインのロジックをすばやくイテレーションしたら、次にハードウェア エミュレーションに移行してハードウェアのサイクル精度の高いシミュレーションを実行し、最後にハードウェアをビルドして実行して、実際のパフォーマンス テストを実行します。

ビルド プロセスのトランスクリプトが Output コンソールに表示され、タイトルはシステム プロジェクト名とビルド ターゲットを合わせたものになります (例: System1::sw_emu)。ビルドが完了したら、そのトランスクリプトまたは <system>/build/<target>/log フォルダーに書き込まれた hw_linker.log ファイルを確認します。トランスクリプトに「Build Finished successfully」と表示されるはずですが、代わりにエラーがレポートされることもあります。Flow Navigator には、ビルドの結果に応じて、緑の丸の中にチェックマーク、または赤の丸の中に × が表示されます。ビルドがエラーで終了した場合は、トランスクリプトまたはログ ファイルを確認して原因を特定し、必要に応じてビルドを実行し直します。

ビルド ディレクトリのフォルダーを選択して展開表示できます。出力ディレクトリに Vitis コンパイラ パッケージ プロセス (v++ --package) の出力ファイルがあります。ビルド プロセスによりシステムに必要なエミュレーション データおよびブート ファイルが生成され、sd_card フォルダーに保存されます。

注記: [Hardware] フォルダーには、packagepackage_no_aie_debug の 2 つのフォルダーが作成されます。package フォルダー内の sd_card.img ファイルはハードウェア デバッグ用で、package_no_aie_debug フォルダーの sd_card.img ファイルは通常のアプリケーション実行用です。

ビルドに成功すると、コンパイル中に生成された一連のレポートが Flow Navigator に表示されます。LinkPackage の下にある Reports を展開すると、レポートにアクセスできます。使用可能なレポートは、ビルド ターゲットによって異なります。使用可能なレポートのいずれかを選択して表示したり、Analysis ビューに切り替えてレポートの確認を完了できます。詳細は、[Analysis] ビュー (Vitis アナライザー) の使用を参照してください。

ビルドが正常に完了したら、次のセクションで説明するように、システム プロジェクトを Run または Debug にできます。