次の図に示す QoR の Assessment Details 表には、RQA スコアの基準となる次の項目別に問題が表示されます。
- [Utilization]
- [Netlist]
- [Clocking]
- [Congestion]
- [Timing]
この表では、デザイン特性が 5 つのカテゴリに分けられています。REVIEW と表示されているサブ項目がなければ、各カテゴリに OK と表示されます。サブ項目に REVIEW と表示されている場合は、問題があるという意味なので、そのしきい値と現在の値が表示されます。しきい値は絶対に超えられない値ではなく、超えることはできますが、そうするとタイミング クロージャの達成が困難になる可能性があります。しきい値を大幅に超えている場合や、しきい値を超えているカテゴリが多くある場合は、特に注意が必要です。アスタリスク (*) が付いている項目は、スコアには直接影響しませんが、デザインがタイミングを満たすかどうかと、デザインをレビューする必要があるかどうかに重要な影響を与えることがあります。
使用率チェックは、SLR レベルおよび Pblock レベルでデバイス全体に対して実行されます。report_qor_suggestions
を実行すると、使用率を低減できる可能性があります。
ネットリスト チェックは、ネットリスト構造および非タイミング制約に対して実行されます。これにより、DONT_TOUCH プロパティが設定されている項目、ドライバー プロファイルが不適切であるファンアウトの大きいネット、およびインプリメンテーション ツールに難易度を追加する可能性のあるその他のデザイン機能が特定されます。
[Clocking] では、セットアップ パスまたはホールド パスに大きいクロック スキューがあるかどうかを確認できます。要件が満たされていないクロック スキュー パスの詳細は、Vivado IDE のレポートに自動的に追加されます。テキスト モードで、‑csv_output_dir <directory>
を追加してタイミング パスを CSV 形式で生成します。report_qor_suggestions
を実行すると、多くのクロック スキューの問題を自動的に修正できます。
[Congestion] には、配線の密集を招く可能性のあるプロファイルのネットリストが表示されます。配線が密集しているエリアの情報は配置前には確認できませんが、一部のネットリスト項目は表示されるので、これらの項目を修正する前に、配置配線を実行して密集を評価してみるとよいかもしれません。report_qor_suggestions
を実行して、密集エリアのセルをターゲットに、密集を低減する推奨項目を生成します。
- WNS、TNS、WHS、THS (デザイン クロージャを達成できる可能性が高いかどうかを判断するため)。
- ネット バジェット チェック: 配線可能なネットの場合、見積もられた遅延の代わりに、保守的な値のネット遅延が追加されます。
- LUT バジェット チェック: LUT に対しては、見積もられた遅延の代わりに、控えめな LUT 遅延値が使用されます。
LUT およびネット バジェット チェックを利用すると、理想的なものではありませんが、妥当な見積もりが可能です。スラックを超えるパスを解決して、デザイン フローの後半で発生する問題の数を減らします。これらのパスの詳細を確認するには、Vivado IDE の Challenging Timing Paths セクションを調べるか、CSV ファイルを生成します。
配線済みのデザインでは、その他の機能がチェックされ、インテリジェント デザイン run 機能内で使用されるラスト マイル指示子を使用してデザイン クロージャを達成できるかどうかが判断されます。これにより、WNS、WHS、PrePath と PostPath のスラック、およびワースト ケース タイミング パスに関連するプリミティブに基づいてタイミング パスがタイミングを満たすことができるかどうかが確認されます。