ジッター用の RAM アクティビティの指定 - 2023.2 日本語

Versal アダプティブ SoC ハードウェア、IP、およびプラットフォーム開発設計手法ガイド (UG1387)

Document ID
UG1387
Release Date
2023-11-15
Version
2023.2 日本語

USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY 制約は、デバイス上のイネーブル/ディスエーブルを切り替え可能なすべての UltraRAM およびブロック RAM の平均周波数を指定します。この値は、RAM の切り替えにより発生する電源ノイズをモデル化し、スタティック タイミング解析でグローバル クロックのジッターを計算するために Vivado ツールにより使用されます。ジッターは、スタティック タイミング解析でクロックのばらつきの要素としてレポートされます。USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY が指定されていない場合、ジッターの計算に Vivado ツールで計算された RAM_AVERAGE_ACTIVITY 値が使用され、タイミング クロージャが困難になる可能性があります。

重要: AMD では、デザインの USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY を計算して、タイミング クロージャを達成しやすくすることをお勧めします。RAM のアクティビティとデザインの USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY の計算については、 『Versal アダプティブ SoC クロッキング リソース アーキテクチャ マニュアル』 (AM003)このセクションを参照してください。

Vivado ツールでは、使用される RAM デバイス リソース、アクティブ信号に接続されている RAM イネーブル ピン、および RAM の動作周波数に基づいて、フラット デザインの RAM アクティビティが見積もられます。Vivado ツールでは、DFX デザインに控えめなデフォルト値が使用されます。Vivado ツールで計算された RAM アクティビティ値は、最上位 [current_design] オブジェクトの読み取り専用の RAM_AVERAGE_ACTIVITY プロパティに適用されます。DFX デザインに使用されるアクティビティ値を変更するには、 『Versal アダプティブ SoC クロッキング リソース アーキテクチャ マニュアル』 (AM003)このセクションを使用して、リコンフィギャラブル パーティションの RAM のアクティビティのバジェットを算出し、デザインの USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY を計算できます。

USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY 制約を指定するには、XDC 制約で最上位 [current_design] オブジェクトに制約を適用します。

set_property USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY 160 [current_design]

次の表に、RAM の切り替えにより発生するクロックのばらつきがタイミング クロージャにどのように影響するかを示します。この例では、デザインに 300 MHz、400 MHz、および 500 MHz で動作するグローバル クロックがあります。RAM_AVERAGE_ACTIVITY は 320 で、USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY 制約は 160 と計算されます。制約を適用すると、各クロック ドメインのすべてのパスでクロックのばらつきが低減され、デザインのタイミング クロージャを達成しやすくなります。

表 1. デフォルトのクロックのばらつきと指定された RAM アクティビティのクロックのばらつき
クロック ドメイン RAM_AVERAGE_ACTIVITY 320 でのクロックのばらつき USER_RAM_AVERAGE_ACTIVITY 160 でのクロックのばらつき クロックのばらつきの減少量
300 MHz 0.103 ns 0.073 ns -0.030 ns
400 MHz 0.089 ns 0.066 ns -0.023 ns
500 MHz 0.078 ns 0.058 ns -0.020 ns