リニア レギュレータ

Versal ACAP GTY および GTYP トランシーバー アーキテクチャ マニュアル (AM002)

Document ID
AM002
Release Date
2021-05-05
Revision
1.2 日本語

一般的にリニア レギュレータは GTY トランシーバーのアナログ電源レールの電圧制御としては最もシンプルなレギュレータです。これは、制御された出力電圧に大きなノイズを発生させないことが特徴です。実際、一部のリニア レギュレータには、電圧入力で生じたノイズを出力で除去する機能があります。リニア レギュレータのもう 1 つの長所は、最小限の外部コンポーネントで PCB 上に電源回路を構築できることです。

一方、主な短所には最小ドロップアウト電圧と制限される効率性があります。このレギュレータでは、出力電圧よりも高い入力電圧が必要であり、最小ドロップアウト電圧は負荷電流に依存します。低ドロップアウトのリニア レギュレータであっても、レギュレータの入力電圧と出力電圧には最小限の電圧差が必要です。このため、システム電源回路デザインでは、リニア レギュレータの最小ドロップアウト電圧要件を確認しておく必要があります。

リニア レギュレータの効率は、その入力電圧と出力電圧の差に依存します。たとえば、入力電圧が 2.5VDC で出力電圧が 1.2VDC の場合、電圧差は 1.3VDC です。レギュレータへ入力する電流とレギュレータから出力される電流が同じであると仮定した場合、このレギュレータの最大効率は 48% となります。つまり、負荷に対して電力が供給され、そのたびにレギュレータが余分な電力を消費します。レギュレータが電力を消費すると熱が生成されるため、システムではこれらの熱を処理する必要があります。このようにリニア レギュレータで生成された熱の放熱処理が、システム コストを増加させる可能性があります。コンポーネント数や複雑性を考えた場合、リニア レギュレータはスイッチング レギュレータよりも優位性があるように思いますが、消費電力や放熱器を含む全体的なシステム コストを考えた場合、高電流アプリケーションではリニア レギュレータの方が高コストになる場合もあります。