デバイスとヒートシンク間に使用する熱伝導材料 (TIM) を選択、適用、またはその性能を判断するには、次の 5 つの要素を考慮します。このセクションでは、これらの各要素について説明します。
- 材料の熱伝導性
- 材料の電気伝導性
- 材料の広がり特性
- 材料の長期安定性と信頼性
- 使いやすさ
- ヒートシンクから TIM を介してパッケージに加わる圧力
材料の熱伝導性
熱伝導性とは、材料 (構成要素) が熱を伝導する能力を数値で表したものです。TIM の材料の熱伝導性は、伝熱能力に大きな影響を与えます。熱伝導性の高い TIM ほど、熱を効果的に伝導します。熱伝導性の低い材料は熱を効率よく伝達できないため、界面で高い温度差が生じます。熱伝導性が低いと、より高性能な冷却ソリューションを使用しないと十分な放熱ができず、一般的にソリューションのコストが増大します。
材料の電気伝導性
一部のメタル ベース TIM 化合物は、電気伝導性があります。セラミック ベース化合物は、一般的に電気伝導性がありません。メーカーは、導電性が低いメタル ベース化合物を製造していますが、それらの一部は電気的に完全に不活性とは限りません。メタル ベースの熱伝導化合物は、Versal デバイスのダイ自体には影響を与えませんが、Versal デバイスやマザーボード上のその他のエレメントに化合物が混入している場合には、それらへのリスクがあります。このような理由から、AMDでは電気的伝導性のある TIM の使用を推奨していません。
TIM の広がり特性
TIM は、取り付けられたヒートシンクの圧力を受けて、Versal デバイスとヒートシンク間の空気間隙が埋まる (またはなくなる) ため、その広がり特性によって性能が決まります。空気は熱伝導率が非常に悪いため、TIM が隙間を多く埋めるほど、熱伝導効率が高まります。
材料の長期安定性と信頼性
TIM の長期的な安定性と信頼性は、長期間の使用後でも十分な熱伝導性が維持されるかどうかを示す指標です。低品質の化合物は、硬化したり、時間が経つとポンプアウト (漏出) が生じる可能性があり、Versal デバイスの早期故障や過熱を引き起こします。高品質の化合物はデバイスの寿命期間において安定的かつ信頼性の高い TIM として機能します。一般的に、より高い粘性を持つ熱伝導性グリースは、ベアダイ デバイスのポンプアウトに対して強い抵抗力があります。
使いやすさ
熱伝導性グリースを塗布する場合、表面実装を担うサプライヤーは材料を適量で使用するように注意が必要です。多すぎても、少なすぎても問題となります。一方、熱伝導性パッドは一定サイズなので、一貫した方法で簡単に使用できます。
ヒートシンクから TIM を介してパッケージに加わる圧力
次の図に示すように、キャリブレーション済みの圧力センサーを使用して、加わる圧力をデバイスとヒートシンク アセンブリの間の複数の位置で測定します。
パッケージ タイプ | サポートされる圧力範囲 |
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0.8mm、0.92mm、および 1.0mm ピッチ | 20 ~ 50 PSI |