ここまでのセクションで説明した内容に基づいてアプリケーションを適切に分割すると、Versal アダプティブ SoC の使用効率が最大限に向上し、最高の性能を引き出すことができます。最高の性能とは、すべてのエンジンが効率よく使用されることを意味しており、特に AI エンジンに関してはすべてのエンジンが高い使用率で動作し、低消費電力で優れた性能を発揮することになります。このため、たとえば高い演算性能が要求されるアプリケーションでは 1 ワットあたりの性能が向上します。
AI エンジン コアの使用率が低い場合は、同じ AI エンジン タイルに使用率の低いカーネルを追加することを検討してください。これらのカーネルは同時には実行できませんが、このことが問題にならないアプリケーションであれば、この方法によって AI エンジン アレイの全体的な効率を高めることができます。
AI エンジン アレイ内にある未使用のタイルはクロック ゲーティングが可能で、この機能はデフォルトで有効です。タイルが未使用と見なされるのは、タイルのコンポーネント、すなわちメモリ バンク、インターコネクト (ルートスルーを含む)、および AI エンジン コアがいずれも無効で使用されていない場合に限ります。必要であれば、境界ボックス コンストラクターを使用してカーネルの配置に制約を与えることにより、クロック ゲーティングを最大限に適用できます。詳細は、 『AI エンジン ツールおよびフロー ユーザー ガイド』 (UG1076) を参照してください。