消費電力の定義 - 2023.2 日本語

Vivado Design Suite ユーザー ガイド: 消費電力解析および最適化 (UG907)

Document ID
UG907
Release Date
2023-10-18
Version
2023.2 日本語

このガイドでは、次の用語が使用されます。

消費電力の見積もり
デザイン インプリメンテーションを開始する前にデザインの消費電力を計算するプロセスです。Xilinx Power EstimatorPower Design Manager などの消費電力見積もりツールに予測されるデバイス リソースの合計およびアクティビティ レートを入力して、デバイスの消費電力を見積もります。
消費電力解析
デザイン インプリメンテーション時にデザインの消費電力を計算するプロセスです。このプロセスでは、RTL 合成ステップ後に利用可能になるデザイン ネットリストを使用します。デザイン配線の完了後、消費電力解析は、正確なデバイス リソースと配線インターコネクトおよび伝搬されたスイッチング アクティビティを使用して、デザインの消費電力を高精度で計算します。
デバイスのスタティック消費電力
コンフィギュレーション後にデバイスが正常に動作するために必要な、接続されているすべての電圧レールと回路のトランジスタ リーク電流から発生する消費電力。通常、空のビットストリームをデバイスにプログラムすると計測できます。デバイスのスタティック消費電力は、プロセス、電圧、温度に左右されます。デバイスが動作していないときの、デバイス内のリーク電流を表します。
デザインの消費電力
入力データのパターンおよびデザインの内部動作により発生する、ユーザー デザインのダイナミック消費電力。瞬間的なものであり、各クロック サイクルで変わります。電圧レベル、使用されるロジック リソースおよび配線リソースによって左右されます。また、I/O 終端、クロック マネージャー、および使用時に電力を必要とするその他の回路からのスタティック電流も、これに含まれます。オフチップ デバイスに供給される電力は含まれません。
[Total On-Chip Power]
デバイス内の消費電力の合計で、デバイスのスタティック消費電力とデザインの消費電力を足したものです。熱電力とも呼ばれます。
オフチップ消費電力
電源からデバイスの電源ピンを介して I/O から供給され、外部ボード コンポーネントで消費される電流。デバイスから供給される電流は、通常 I/O 終端、LED、ほかのチップの I/O バッファーなどのオフチップ コンポーネントで消費されるので、デバイスのジャンクション温度は上昇しません。
注記: 負のオフチップ消費電力は、外部ソースから供給され、デバイス内で消費される電流のことです。
パワーオン電流
デバイスに最初に電源を投入したときに発生する過渡電流。各電圧電源、デバイスの構造、電源が公称電圧まで上昇する立ち上がり時間によって異なります。この電流は、温度、電源の投入シーケンスなど、デバイスの動作条件にも左右されます。アーキテクチャが改善されていたり、適切な電源投入シーケンスに従っている場合は、パワーオン電流は動作電流よりも小さくなるのが一般的です。
周囲温度 (°C)
システムの動作条件下におけるデバイス周囲の外気の温度。
外気に対する熱抵抗 (ΘJA (°C/W))
Theta-JA および ΘJA とも呼ばれ、デバイス シリコンから周囲の環境 (デバイス ジャンクションから外気) までの電力損失を定義する係数です。シリコン チップの寸法から外気までのすべての要素に加え、パッケージ、PCB、ヒートシンク、エアフローなど、その間にあるものが影響します。発生した熱が環境に放熱される方向には、主に次の 2 つがありますが、外気に対する熱抵抗は、通常、熱抵抗と、この 2 つのかかわりを組み合わせています。
  • ダイから上方向 (ジャンクションから外気、ΘJA)。
  • ダイからボードを介して下方向 (ジャンクションからボード、ΘJB)。

熱抵抗の詳細は、『7 シリーズ FPGA パッケージおよびピン配置製品仕様』 (UG475)、 『UltraScale および UltraScale+ FPGA パッケージおよびピン配置ユーザー ガイド』 (UG575) を参照し、Versal デバイスの熱抵抗の詳細は 『Versal アダプティブ SoC パッケージおよびピン配置アーキテクチャ マニュアル』 (AM013) を参照してください。

重要: このユーザー ガイドに示す温度データは、デバイス/パッケージの比較のためにのみ示しています。これらの値を熱シミュレーション デザインに使用しないでください。AMD ウェブサイトから提供されている熱モデルを使用してください。