電源ドメイン

電源シーケンス制御の実装方法 (XAPP1375)

Document ID
XAPP1375
Release Date
2022-05-06
Revision
1.0 日本語

このセクションでは、Versal ACAP の各ドメインの基本的な機能について説明します。

プラットフォーム管理コントローラー
PMC は、Versal ACAP で最初に電源が投入されるブロックです。このドメインは、デバイスのブートとコンフィギュレーションを担い、従来世代のザイリンクス デバイスのパワー管理ユニット (PMU) に相当します。Versal ACAP の動作中、常に電源を供給しておく必要のある唯一のドメインです。PMC には複数の I/O (バンク 500、501、503) があり、これらをコンフィギュレーションすることにより、外部シーケンサーまたは VRM のイネーブル ピンに対して直接、システム内のほかのドメインまたはコンポーネントへの電源供給を開始するように信号を送ることができます。
低電力ドメイン
LPD では、デュアル コア Arm® Cortex®-R5F リアルタイム プロセッサがさまざまな機能を実行します。このブロックは低消費電力かつ低レイテンシの確定的機能を実行し、自動車安全度水準 (ASIL) や安全度水準 (SIL) の機能をサポートします。FPD、PL、およびシステム ドメインの電源を切断して消費電力を最大限に削減しながら、このドメインには電源を供給して一部機能を実行する使い方はよく見られます。このドメインにも I/O があり、PMC の I/O を利用できない場合は、これらの I/O をプログラムしてレギュレータを有効にできます。
フル電力ドメイン
FPD には、高機能のデュアル コア Arm Cortex-A72 アプリケーション プロセッサ (APU) が含まれます。このドメインは、複雑なアルゴリズムやさまざまな決定木を実行するように設計されており、幅広い種類のライブラリがあります。PL とシステム ドメインの電源を切断しながら、このドメインには電源を供給して、LPD のプロセッサではカバーできない一部機能を実行する使い方はよく見られます。
プログラマブル ロジック
PL は Versal ACAP の中心的な要素で、PL に含まれる FPGA テクノロジは特定の演算ファンクションに合わせて細かくカスタマイズでき、レイテンシが重視されるリアルタイム アプリケーションで真価を発揮します。PL ドメインは、アイドル時もスタティック消費電力によって多くのデバイス電力を消費するため、未使用時は電源を切断するのが一般的です。このドメインは、ACAP の消費電力の大半を占める分、パワー マネージメントの効果が大きく現れます。ドメイン全体の電源を切断せずに、ギガビット トランシーバー (GT) の電源だけを切断することもできます。
システム ドメイン
システム ドメインはネットワーク オン チップ (NoC) とハード メモリ コントローラーに電源を供給します。このドメインは Versal ACAP 内の PL、PS、およびその他ブロックを接続する高速統合データパスです。PL を使用している間は、常にこのドメインに電源を供給しておく必要があります。