PMBus と I2C

電源シーケンス制御の実装方法 (XAPP1375)

Document ID
XAPP1375
Release Date
2022-05-06
Revision
1.0 日本語

PMBus (Power Management Bus) および I2C は、VRM とシステム コントローラー間のデジタル電源管理に使用できる通信プロトコルです。PMBus は、I2C ベースの SMBus (System Management Bus) から派生したプロトコルで、これらの物理層は共通していますが、各プロトコルには細かな違いがあり、用途も異なります。

PMBus がその他のプロトコルに比べて優れているのは、コマンドが標準化されているため多くのメーカーのデジタル電源 IC に互換性があり、I2C を使用して個々のデバイスに対してコマンドを調整する必要がない点です。

また、PMBus 標準コマンド以外に、そのメーカーの VRM で使用可能なメーカー固有コマンドが用意されていることも挙げられます。パワー IC ベンダーにより、サポートされるコマンド セットが異なります。一部のコマンドがサポートされないこともあるため、電源 IC のデータシートで確認してください。

PMBus は 2 ピンまたは 3 ピン構成で実装でき、プライマリ/セカンダリ通信プロトコルを使用します。PMBus では、クロック (SCL) ピンとデータ (SDA) ピンは必須です。PMBUS_ALERT ピンはオプションで、過温度または過電圧条件などの場合にセカンダリ デバイスがプライマリに対して通信の開始を要求する際にアサートします。デバイス間のすべての通信に使用するクロックは、プライマリが駆動します。Versal デバイスは、PS で動作する Linux ドライバーを使用した場合、プライマリまたはセカンダリ モードのいずれでも動作します。PMC を使用した場合は、セカンダリ モードで動作します。
注記: PMBus でアクセスするとデザインの電流および電力が可視化でき、電力と熱の制限を把握しやすくなります。

PMBus の詳細は、最新の PMBus 仕様 のウェブサイトを参照してください。

図 1. PMBus の物理接続図

PMBus/I2C プロトコルはタイミングが指定されており、ピンをグループ単位で配線する必要があるため、制約を受けることがあるります。電源シーケンス制御に PMBus/I2C を使用するか GPIO を使用するかは、この点を考慮して判断する必要があります。GPIO の方が柔軟性が高く、MIO および EMIO (Extended MIO) を使用して多重化できます。