説明
C/C++ 記述では、すべての演算が順次に実行されます。set_directive_allocation
などのリソースを制限する指示子を指定しない場合、Vitis HLS でレイテンシを最小限に抑え、同時実行性を向上するよう処理されます。ただし、データ依存性のためにこれが制限されることがあります。たとえば、配列にアクセスする関数またはループは、完了する前に配列への読み出し/書き込みアクセスをすべて終了する必要があります。そのため、そのデータを消費する次の関数またはループの演算を開始できません。
ただし、前の関数またはループがすべての演算を完了する前に、次の関数またはループの演算を開始できるようにすることは可能です。syn.directive.dataflow
は関数またはループにデータフロー最適化を実行し、RTL インプリメンテーションの同時実行性を向上します。syn.directive.dataflow
を指定した場合、HLS ツールで順次関数またはループ間のデータフローが解析され、プロデューサー関数またはループが完了する前にコンシューマー関数またはループの演算を開始できるように、ピンポン RAM または FIFO に基づいてチャネルが作成されます。これにより関数またはループを並列実行でき、レイテンシが削減されて RTL のスループットが向上します。
syn.dataflow.xxx
コマンドは、データフロー設定 で説明されるように、syn.directive.dataflow
で使用されるデフォルトのメモリ チャネルと FIFO の深さを指定します。開始間隔 (II) (関数またはループの開始から次の関数またはループの開始までのサイクル数) が指定されていない場合は、Vitis HLS で開始間隔を最小にし、データが使用可能になったらすぐに演算を開始できるようにすることが試みられます。DATAFLOW 最適化が機能するようにするには、デザイン内でデータが 1 つのタスクから次のタスクに流れる必要があります。次のコーディング スタイルを使用すると、HLS ツールで DATAFLOW
最適化が実行されなくなります。
- シングル プロデューサー コンシューマー違反
- タスク間のフィードバック
- タスクの条件付き実行
- 複数の exit 条件を持つループ
最後に、DATAFLOW 最適化には階層インプリメンテーションはありません。サブ関数またはループに DATAFLOW 最適化が有益な可能性のあるタスクが含まれる場合、DATAFLOW 最適化をそのループまたはサブ関数に適用するか、サブ関数をインライン展開する必要があります。
構文
syn.directive.dataflow=<location> disable_start_propagation
-
<location>
: データフロー最適化を実行する場所をfunction[/label]
の形式で指定します。 -
disable_start_propagation
: 開始トークンを内部プロセスに伝搬する開始 FIFO の作成をディスエーブルにします。このような FIFO がパフォーマンスのボトルネックとなることがあります。
例
次の例では、関数 foo
内に DATAFLOW 最適化を指定しています。
syn.directive.dataflow=foo